第4回なぜ中学受験の塾代は「高すぎる」のか 大手塾講師が明かす業界事情
東京都内の大手学習塾で中学受験生を教える40代男性は、アルバイト時代を含めると講師歴が20年以上になる。
小学生の息子2人を自社の塾に通わせている。この塾に小4から3年間通うと、通常は300万円程度はかかるという。
子どもを私立中に通わせる場合、塾代に加えて合格後の学費なども考えると、世帯年収が1千万円を超えないと厳しいのでは――。男性はそう感じている。
自身の年収は800万円台。2人の子の塾代は社内割引で通常より安くすんでいるとはいえ、負担感は非常に大きい。食費も切り詰め、節約する日々だ。
「自分も外部の保護者だったら、塾が『取りすぎ』だと疑うだろう」
その負担の重さから、親たちの悩みの種になっている中学受験の塾代。大手塾の現役ベテラン講師が取材に応じ、内幕を語りました。親たちが高い塾代を払ってまで子を通わせる背景には、日本の公教育の問題点が垣間見える、と男性は言います。
男性が別の塾で講師になったころは、1教室に50人を入れて講師1人で授業することもざらだった。
保護者の負担感、わかっているが…
だがその後、きめ細かい教育…
- 【視点】
中学受験に限らず、いまの受験熱の高さは、教育問題ではない。大人たち自身の、競争社会や格差社会に対する不安の投影である。 個別指導塾や家庭教師に課金しまくるのは別にして、純粋な中学受験塾の費用のみなら3年間で約250万円が相場といわれている