「タイムだけ追うロボット」ではなく 小平奈緒、ラストラン前の告白

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榊原一生
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 競技人生は決断の連続だった。その度、「進むべき道は自分で決めてきた」とスピードスケート小平奈緒(相沢病院)。迷うことなく駆け抜けてきた自負がある。現役最後の決断は、スケート靴を脱ぐことだった。全日本距離別選手権で女王は引退する。22日、ラストレースの号砲が鳴る。

 心ならずもその日がついに来た、ということ? インタビューで向かい合った彼女は、質問に優しく首を振った。

 「何となくこのぐらいの年齢で次のステップに進みたいと思っていました」

 5月で36歳になった。

 「スケートの世界だけじゃない、違う世界も見てみたかったから」

 10月のレースを最後にすると決めたのは、この春。未練や迷いなどない。人生の分岐点に立った時、いつだって覚悟と責任を持って決断をしてきた。

 2人の姉を追ってスケートを始めた3歳の時もそうだった。

 「本当にやりたいの?」

 「ずっと続けられる?」

 両親からの問いかけに、「な…

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    磯野真穂
    (人類学者=文化人類学・医療人類学)
    2022年10月19日17時23分 投稿
    【視点】

    >「足で力を出す」という考えがある日、「氷から力をもらう」に変わった。 言葉を大切にするということは、自分と世界の関わり方をじっくり観察すること。さらには自分の価値観すらも確認することです。 素人が外から見ていても、「足で力を出

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    稲崎航一
    (朝日新聞大阪スポーツ部長)
    2022年10月18日17時0分 投稿
    【視点】

    【五輪基準じゃない】 多くのスピードスケート選手にとって、オリンピック(五輪)は競技人生最高の舞台であり、最大の目標にしています。 清水宏保さん、岡崎朋美さん、長島圭一郎さん……歴代のメダリストたちは五輪選考会に敗れて、現役を引退し