スマホの位置情報やネット検索 評価分かれた犯人性 堺の父弟殺害

松浦祥子
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 堺市で2018年、父親と弟を殺害したとして、殺人罪などに問われた無職足立朱美被告(48)の裁判員裁判の公判が17日、大阪地裁であった。いずれも足立被告の犯行と言えるかどうかの「犯人性」を巡る中間論告と弁論が行われ、検察側と弁護側の主張が真っ向から対立した。

 足立被告は18年1月、同市中区の実家で、父親の富夫さん(当時67)に多量のインスリンを注射して低血糖脳症などに陥らせ、約5カ月後に殺害したとして起訴された。また、18年3月には、弟の聖光さん(当時40)に睡眠薬を服用させて眠らせ、トイレで練炭を燃やして一酸化炭素中毒で殺害した罪にも問われている。

 検察側は中間論告で、父親の富夫さんが救急搬送される前、一緒にいた足立被告がネットで「インスリン注射部位」などと何度も検索していたと指摘。長年、自分でインスリンを注射していた富夫さんが、過失で過剰投与したとは考えられないとし、足立被告がインスリンを投与して殺害したと主張した。

 また、聖光さんの死亡を巡り、実家のパソコンから聖光さんの遺書の作成履歴が見つかったが、作成された時間帯や、足立被告のスマホの位置情報の履歴などから、聖光さんではなく、足立被告が作成したものだと主張。聖光さんの臓器が保存されたホルマリン液から、足立被告に処方された睡眠薬の成分が検出されたうえ、練炭は足立被告の名義でネット注文されていたとし「聖光さんを眠らせ、自殺に見せかけて殺害した」と述べた。

 一方、弁護側は中間弁論で、「インスリン注射部位」などの検索について、なぜ検索したのかや、検索して何を認識したのかまでは分からないと指摘。検索履歴に「殺す」という言葉が一切ない点を挙げ「死ぬまでの経過を心配して調べた可能性もある」と述べた。

 また、聖光さんの遺書の作成履歴があった4日間のうち、足立被告の位置情報の履歴と合致するのは3日間だけであり、位置情報だけでは足立被告が作成したと立証できていないと指摘。足立被告が聖光さんに睡眠薬を飲ませたとする根拠は乏しく、第三者が足立被告の名義を使って練炭を買った可能性もあるとし、犯人性を否定した。

 足立被告は2人の殺害のほか、聖光さんの妻らを中傷する文書を近所の車のワイパーに挟み込むなどした名誉毀損(きそん)などの罪にも問われており、次回公判から審理される。(松浦祥子)

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