席外した藤井聡太竜王 「良い手だな」糸谷哲郎八段はこぶしを握った
【将棋観戦記】A級順位戦3回戦
▲(先手)竜王 藤井聡太(1勝1敗) △(後手)八段 糸谷哲郎(1勝1敗)
五冠VS.「怪物」
20歳の藤井と当時33歳の糸谷との3回戦は9月12日、名古屋将棋対局場で。初めて訪れた糸谷は「なかなか会場にたどり着けず焦った」と苦笑い。
藤井は2回戦で菅井竜也八段(30)にA級初黒星を喫した後、王位を防衛し五冠を堅持した。さすがの修正力だ。
「怪物」の異名を持つ糸谷は、本局の前に王将戦挑戦者決定リーグ戦入りを決めたが、「調子はダメダメ」。過去5戦全敗の藤井戦を前に厳しい自己評価だった。
▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △3二金 ▲2四歩 △同歩 ▲同飛 △4二玉 ▲5八玉2 △7二銀 ▲3四飛1 △8六歩 ▲同歩 △同飛 ▲2四飛1 △7四歩 ▲2六飛1 △5二玉25 ▲8七歩23 △8五飛5 ▲7七角16 △2三歩61
戦型は糸谷が得意の角換わりではなく、横歩取り模様から△4二玉と趣向を見せた。両者は第28期銀河戦決勝でも同一局面を経験。以下▲3四飛△3三角▲7七角と進み先手の藤井が勝った。糸谷はこの展開を想定していたが、藤井は2分で▲5八玉と手を代えたが、「本局に向けて用意した手ではない」と藤井。序盤の豊富な研究量の成果だろう。
▲5八玉は「▲3四飛(と横…