「黒田さん、ちょっと待ってよ」 元日銀理事が見た10年前との矛盾

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聞き手・筒井竜平 徳島慎也
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 アベノミクスの看板政策「異次元の金融緩和」を日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁が2013年4月に始めてから、まもなく10年。いまだに想定した成果を生み出せない状況に、18日の国会では黒田総裁の辞任要求まで飛び出しました。元日銀理事の早川英男氏は「黒田さんは10年前と言っていることが違う」と指摘します。どういうことなのでしょうか。止まらない円安との関係とともに聞きました。

 ――黒田総裁が「2年で2%の物価上昇率を実現する」と宣言して金融緩和を始めてから、もうすぐ10年になります。

 「アベノミクスの金融政策は、一言で言えば円安政策だ。2%という物価上昇率の目標を掲げ、それを達成する手段は円安だった。金融緩和で市場に大量のお金を供給することで円安・株高を起こし、物価上昇をつくりだそうとした。14年はじめの物価上昇率は1.5%程度まで上がった。あそこで賃金も上がれば、ひょっとするとうまくいくこともあると思った。しかし、あの年の春闘で賃金が大きく上がらなかった。政府が民間企業の賃上げを促す『官製春闘』を始めたのはその後だ」

アベノミクスを支えた「リフレ派」は何を誤ったのか。政府・日銀の共同声明に書かれた物価目標以外の「約束事」とは。記事後半で、早川さんの明快な解説をお伝えします。

 「黒田総裁は当時、『先に物…

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