若き看護師が向かったウクライナ国境 避難者から学んだ大切なもの
小沢邦男
その若き看護師は、初めての単身での海外渡航、そして初の国際支援活動で、ウクライナ人の避難者支援にあたった。国際医療NGO「AMDA(アムダ)」の長谷奈苗さん(27)。初めてだらけの体験のなかで「日常の大切さ」を学んで帰ってきた。
長谷さんは6月の1カ月間、ロシアの侵攻が続くウクライナの隣国ハンガリーに渡り、国境近くで避難者の支援に従事した。AMDAに加わったのは今年4月。1人での海外渡航は初めてだったという。
AMDAは1984年の発足以降、災害や紛争が発生した60カ国241件(9月現在)で緊急医療支援活動に取り組んできた。ロシアによる侵攻以降は、医師や看護師らを10回にわたり派遣。ハンガリーの医師らによる「ヘルプセンター」に合流し、診療や医薬品のニーズ調査などに取り組んできた。
長谷さんは避難者の健康チェックや、ウクライナからの道中でけがをした人たちの処置を担った。新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)を予防するために掃除と消毒、手洗いの働きかけも続けた。各国から寄せられた医薬品の仕分けも担当した。
ウクライナ人男性の多くは総動員令により国にとどまったため、避難してきた人たちの大半は女性と子どもだった。
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