那珂川町でドラゴンフルーツ本格栽培 間伐材の熱利用

中村尚徳
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 奇抜な形と鮮烈な赤さが特徴の南国の果実・ドラゴンフルーツが、栃木県那珂川町の温室で栽培されている。地元の間伐材や未利用材を利用したボイラー熱で、気温が零下まで下がる真冬を越えて実らせる。県内では例がないという試みは軌道に乗り、収穫体験用温室の増設も検討している。

 ドラゴンフルーツは中南米原産でサボテン科の多肉植物。竜のウロコのように見える果皮が名前の由来という。農林水産省によると、国内では9割以上が沖縄、鹿児島両県で生産されている(2019年)。果肉は甘くあっさりしていて、食物繊維ビタミンポリフェノールが豊富で、健康食としても注目されている。

 18年に「星の見える丘農園」の星一明さん(57)が、果肉が赤いレッドピタヤと呼ばれる品種を育て始めた。面積の約7割を山林が占める町の特性を生かし、間伐材や未利用材のチップを木質バイオマスボイラーで燃やした熱で温室を暖めている。

 熱利用は資源の有効利用になるため、木材会社や外壁製造会社、農園、川魚販売業者などが連携している。灯油や重油で暖める場合と比べ、経費は半分以下に抑えられるという。星さんの温室の隣では木材会社がマンゴーの栽培などに取り組んでいる。

 星さんは最初、同じ温室でナスの栽培を試みたが、採算面の問題などがあり、2年目からドラゴンフルーツに切り替えた。「何か珍しい果物はないか」と考えていたところ、病気になりにくく農薬を使わずにすむと知って選んだ。

 温室2棟は計8アール。収量は徐々に増え、年間1トンに。出荷する直売所や道の駅を訪れる人たちにも浸透してきた、と星さんは自信を見せる。「ケーキなどにも加工しやすい。海外産と違って完熟状態で出荷できるのが強み」と売り込む。

 米作りのほか、観光ブドウ園も営む星さんは「ブドウの時期が終わると、ほかに収穫体験できる果物がないかと問い合わせがある」といい、バイオマスボイラー熱を利用した収穫体験用温室の増設を検討している。

 ドラゴンフルーツの花は一夜しか開花しない。「ムーンフラワー」や「夜の女王」などと呼ばれる。星さんは収穫体験だけでなく、花の観賞会を開く計画も温めている。(中村尚徳)

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