気持ちにふたをしてきた…吃音の私がカフェ店員の夢を実現するまで
「症状が一番きつかった」のは、中学生のころだ。
大阪府枚方市の大学生幸田悠さん(20)には、吃音(きつおん)の症状がある。
中3のとき、詩の音読発表。
クラスのみんなで1行ずつ順番に読み上げていく。
自分の番が来たときに「めっちゃどもって」しまった。
どっと笑い声が上がる。
「先生、なんか言ってくれないかな」
助けてほしくて先生の方を見たら、先生も笑っていた。
「恥ずかしくて、消えてしまいたかった」
生徒会役員に立候補したくても、「立会演説があるからやめとこうかな」とあきらめた。
障害があると思われたくない。
ずっと「吃音を隠したい」気持ちが強かった。
大学生になり、アルバイトを探すときも人とかかわる仕事を避けてきた。
スターバックスコーヒーの店員に憧れたが、気持ちにふたをした。
父、修一さん(52)が、悠さんの吃音に気づいたのは、幼稚園のころ。
言いたいことが言えなくて泣き出した姿を見て、「僕と同じ症状が出てしまった」と胸が痛んだ。
大人になれば語彙(ごい)が増え、別の言葉で言い換えることもできる。
幼い娘にはできない。
修一さんにも吃音があり、娘のもどかしさが手に取るようにわかった。
修一さんも高校生のとき、音読で詰まり、先生から「練習していないんだろう」と叱られたことがある。
悔しかったが、言い返せなかった。
「周りに知られたくない」
吃音を隠したくて、自分から積極的に話しかけることを避けてきた。
10月22日は、吃音や言語障害がある人への理解を広げる「国際吃音啓発の日」です。生徒会役員や店員の夢に「ふたをしてきた」悠さん。後半では、悠さんの挑戦を描きます。
娘には同じような生き方をし…