ロシアによるウクライナ侵攻で核使用の危機が高まる中、国際NGO「平和首長会議」の総会が開かれた。海外都市の中には広島に足を運び、対面で会議に参加した都市もある。ロシアの隣国や核兵器保有国にある街、悲惨な戦禍を経験した地――。都市の代表らはヒロシマで何を感じ、語ったのか。
「プーチン氏が核兵器使用を示唆しているが、危険で容認できない」
ノルウェーの首都オスロのマリアンネ・ボルゲン市長は取材にそう訴えた。
同国は北部でロシアと接している。核兵器使用の脅威が高まったことから現地参加を決めた。「他の市長たちと会ってつながることが大切だと思った」と明かす。都市の役割について、「教育や情報、対話の場を提供することができる」などとした上で、「さらに私たちは、核兵器禁止条約が法的強制力を持つよう国に働きかけることもできる」と話した。
核保有国の一つフランスからも参加があった。
パリ近郊の都市マラコフのファティア・アロダット副市長は「核兵器のない世界への思いを共有していると肌で感じられる」と話す。市役所などで核兵器禁止条約への批准を政府に求める活動を続けているが、国内では条約自体の報道もほとんどないという。広島を訪れ、「大きな活力になる。世界のすべての都市が被爆者の声に浸るべきだと改めて感じた」という。
原爆投下後のトラウマは学ばず
ポルトガル・エヴォラのアレクサンドレ・ヴァレラ副市長は20日の会議で、市内の中学校で原爆投下の歴史を伝える展示会を開いたことなどを発表した。その中で、「(核廃絶という)夢を実現するためには常に行動が必要だ」と投げかけた。
取材に対し、ロシアの核危機を踏まえ「自分たちの役割や考えは変えることができると認識してもらい、非加盟都市に加盟を呼びかけていく必要がある」と話した。
カナダ・モントリオールから参加したアリア・アッサン=クルノル市議は、広島平和記念資料館を見学した。
「学校では原爆の投下については教わったが、その後のトラウマ、苦しみについては学ばなかった。強烈だった」と印象を述べた。
ウクライナ侵攻をはじめ、北朝鮮が繰り返すミサイル実験などを目の当たりにし、「平和がいかにもろいものか痛感した」と述べた。
壊滅した街から……
「コーカサスのヒロシマ」と呼ばれることがあるアゼルバイジャンのアグダムからも出席があった。
隣国のアルメニアとナゴルノ…
- 【視点】
国家と国家がつばぜり合いをする中、市民により近い都市同士が国境を越えてつながることは非常に重要なことです。それを体現している平和首長会議は、2025年までの行動計画で、すべての国が核兵器禁止条約に早期批准することを求める署名活動などに取り組