「日本は世界で一番寝ていない国」睡眠学会理事長が語る睡眠の大切さ
「日本ほど子どもの睡眠をないがしろにしている国はありません」。そう訴えるのは、内村直尚・日本睡眠学会理事長(久留米大学長)だ。成長するにつれ、塾や部活動で睡眠時間の確保が難しくなる現実がある。少しでも改善するにはどうすればいいのだろうか。話を聞いた。
睡眠は子どもの体と脳と心の成長に大きな影響を与えます。それなのに、日本ほど子どもの睡眠をないがしろにしている国はありません。
経済協力開発機構(OECD)が2021年に発表したデータでは、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で加盟30カ国の最下位。平均より1時間も少ないのです。9~18歳を対象とした調査でも、日本人の平日の睡眠時間はヨーロッパ諸国と比較して1~2時間少ない。大人も子どもも、日本は世界で一番寝ていない国なのです。
睡眠は成長を促すだけでなく、心を安定させ、記憶を固定し、免疫機能を高めるなど、様々な働きがあります。
勉強した後に十分睡眠をとった場合と、好きに行動した場合を比べたら、平均記憶量に5倍の差が出たというデータがあります。記憶をつかさどる脳の海馬の体積と、子どもの睡眠時間は比例するという研究結果もある。入眠時間が遅いほどイライラする子が多い、小児期の睡眠不足がその後の不安や抑うつにつながるなど、睡眠の大切さを示すデータはたくさんあります。
塾やスマホの光が、子どもの体内時計を狂わせる
でも今の日本の子どもたちは…
- 【提案】
まさにこれです「子どもの睡眠を変えるには、保護者が変わらないと難しい。それには社会も変わらないといけません。」これほどまでに残業が多い日本では、そのしわ寄せは子どもに行っているのです。仕事が長引けば、家事を終える時間も遅くなり、それまではテ