第5回「マイナス金利なければ年100億円収益増」 地銀の体力奪った緩和

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聞き手・徳島慎也
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 日本銀行の「異次元緩和」によって、金融機関は貸し出しで得られる金利収入が大きく減りました。とりわけ地方の金融機関の経営は厳しさを増しました。西日本シティ銀行福岡市)の谷川浩道会長(69)は、「お金さえ回せば事業が興るという発想が適さなくなった」と、いまの金融政策に疑問を呈します。低金利下で、地域経済や金融機関の経営がどう変わったのか、谷川氏に聞きました。

 ――大規模な金融緩和によって、地域の中小企業はどう変わりましたか。

 「どの地銀も、金利低下による収益減を、ボリューム拡大でカバーする戦略をとりました。しかし、貸出先の企業にとっては、人口減少などで今後も本業が伸びるとは限りません。高度成長期のような資金需要はありませんでした」

 「一方で資産バブルを懸念しています。借りたお金が不動産や株に向かう動きです。福岡のように人口が流入する地域はマンションへのニーズが高く、高齢者施設も安定した需要が見込め、いろんな業態が不動産を買っています」

日本銀行の黒田東彦総裁が来春、任期満了を迎えます。10年間の大規模緩和についてテーマごとに識者に語ってもらいます。今回は金利編です。

成長率停滞「お金回せば事業が興るとの発想、適さない」

 ――一方で、資金の貸し手である地方の金融機関には、超低金利政策がどんな影響を与えましたか。

 「ずっと超低金利が続いたこ…

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