政府が検討している敵基地攻撃能力の保有についてどう考えればいいのか。笹川平和財団の渡部恒雄・上席研究員に聞いた。
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岸田政権は年内に外交・防衛政策の基本方針「国家安全保障戦略」など三つの文書を改定します。今回の改定は日本の安全保障の大転換になるかもしれません。改定に関わる関係者、有識者に様々な視点から聞きました。
――敵基地攻撃能力保有の是非が議論される背景をどう見ますか。
「過去20年の中国の軍事力拡大の勢いはすさまじく、軍事バランスは中国に有利だ。米ロの中距離核戦力全廃(INF)条約によって米国が地上発射型の中距離ミサイルを保有できないなか、条約に縛られない中国は国防費を増やして短距離、中距離、長距離の各ミサイルの開発・配備を加速してきた」
「加えて、日本の弾道ミサイル防衛では迎撃困難な変則軌道や極超音速ミサイルを、中国や北朝鮮が持ちはじめ、『力の空白』を好機とみて冒険主義に走るかもしれない。そうした気を起こさせないためにも、日本が相手に届く長射程のミサイルを保有することに意味がある」
――かつて米国は、日本が敵基地攻撃能力を持つことに否定的な見方が強かったように思います。
「以前はそうだったが、米国…
- 【視点】
今回、特集「安保の行方」では、「敵基地攻撃能力」を取り上げました。国際情勢、安保環境、技術の変化を踏まえ、抑止力としての「反撃能力」は必要と訴える渡部恒雄・笹川平和財団上席研究員と、「憲法の番人」としての立場から、憲法の理念がなえがしろに

防衛費増額・安保3文書
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