第12回「奇跡」誇り、続投も手中 それでも世界振り回す際限なき習氏の不安

有料記事中国共産党大会2022

聞き手=畑宗太郎
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 中国共産党大会で3期目を確実にし、安定を得たようにもみえる習近平(シー・チン・ピン)体制。それでも、慶応大の加茂具樹教授(現代中国政治外交)は「習氏は安定したとは思っていないだろう」と語ります。3期目に入る習体制、そしていまや大国となった中国には、どんな不安が横たわっているのでしょうか。

加茂具樹さん

かも・ともき 1972年生まれ。慶応大総合政策学部の学部長、教授。専門は現代中国の政治外交。2016~18年に在香港日本総領事館領事。著書に「十年後の中国 不安全感のなかの大国」(一藝社)など。

 ――開幕日に習氏が行った政治報告をどう読みましたか。

 まず、党大会や政治報告は党や党員、そして中国人に向けて行われたもので、支配の正統性を獲得するための儀式です。報告の目的は、習氏が総書記を3期続投することの説明です。その文脈でいうと、「私たちのこれまでの取り組みは素晴らしいものでした。これからもがんばるのでよろしくお願いします」という予想通りの物語が出てきました。何の驚きもありませんでしたね。

 党大会は議論の場ではありません。すでに決めた指導部の方針を伝達し、党員が学習する場です。党指導部にとってはこの儀式とお決まりの内容の報告が必要なのです。

 ――3期目続投については、どのように説明したのでしょうか。

 習氏は、10年前の中国は改革開放の成果を享受していたが、一方で、党の領導(リーダーシップ)に対する認識があいまいになり、政策実施が徹底されず、様々な問題が浮上していたと分析し、これらの問題を解決するために10年間でイデオロギーを確立し、党の領導を強化したと説明した上で、これからのことを語りました。その中で、今後5年間で「社会主義現代国家」をつくるために、引き続き、党の全面領導を強化するという話をしています。

 「世界は100年に1度の変革期にあり、それに対応するには権力の集中が必要だ」と。これは習氏が取り組んできたことの延長なので、同じ人がやるという理屈です。徹頭徹尾、党中央への権力の集中を進めると宣言しており、報告を聞き、報告の読者である党大会代表の党員は「だから習氏の3期目なんだ」と解するわけです。

3期目を固めても・・・

 ――しかし、3期目を固め、すでに権力は安定しているのでは。

 主観的には、安定したとは思…

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