惜しまれ、支えられ、愛され22年 イオンシネマ西大和、最後の1日

田中祐也
【LastDay】イオンシネマ西大和、最後の1日に密着=福留庸友、小林孝也撮影
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 奈良県北西部の河合町に地域に愛された映画館があった。

 「イオンシネマ西大和」。今年8月21日、22年間の営業を終えた。

 映画館はもともと、隣接するスーパーとともに2000年にオープン。開業時は、県内3カ所目のシネコン(複合映画館)だった。

 総支配人の大谷勇気さん(45)は「映画が好きな地元の人に支えられてきた映画館です」と話す。

 当時から働くスタッフによると、2001年の「千と千尋の神隠し」が公開したときには、隣の立体駐車場が満車になるぐらいお客さんが来たという。

 順調だった映画館に、間もなく転機が訪れる。近くに映画館を併設した大型ショッピングモールが相次いで開業した。

 訪れる客は徐々に減少。賃貸契約の満了に伴い、閉館することになった。

 閉館が決まった後も、イオンシネマ西大和のツイッターは積極的に発信を続けた。自虐的なツイートや、他の映画館とのやりとりが評判となり、5月中旬に3千人ほどだったフォロワー数は1万8千人に増えた。

 最終日、映画館には多くの映画ファンが訪れた。

 子どものころから通っていたという男性や、映画館のツイッターの「中の人」にお礼を言いたいという学生、映画館がプッシュしていた映画「アイの歌声を聴かせて」のファン――。

 最終上映を終えた午後6時55分。閉館を惜しむ人たちがロビーを埋める中、大谷総支配人は最後のメッセージを送る。

 「映画を愛する人がいるかぎり、映画館はなくなりません。皆様に愛していただいた映画館だったと、いま確信しました」。映画ファンの拍手が大谷さんを包む中、22年続いた映画館の歴史が幕を閉じた。田中祐也

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