国民年金、3割減の試算も 少子化に危機感 5年延長検討の背景とは

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村井隼人
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 この10年近くの検討テーマとされてきた国民年金保険料の納付(支払う期間)延長の議論が本格的に始まることになった。その背景には何があるのか。

 公的年金制度が直面する最大の課題の一つが、国民年金(基礎年金)が下がりすぎる低年金問題だ。いまも年金額は40年間保険料を満額納めた人でも月6万4816円(2022年度)と、これだけで生活するのは難しい水準だが、今後さらに下がっていく。

 問題は受け取る年金(給付)の水準がどこまで下がるかだ。厚生労働省は将来の水準を5年ごとの財政検証で点検し、現役世代の平均手取り収入に対するモデル世帯の年金額の割合(所得代替率)が50%を下回らないようにしている。

 直近の19年検証では、厚生年金のモデル世帯(会社員と専業主婦の夫婦)が将来受け取る年金は所得代替率が50・8%(高成長を見込む中間的なケース)。いまより約2割低下するものの、50%は維持できる見通しとなった。一方、自営業者や非正規雇用者らが入る国民年金は将来的に約3割落ち込むこととなり、課題の深刻さが浮き彫りになった。

十分機能しない仕組み 厚労省「このままではまずい」

 理由は年金額の伸びを物価や…

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    朽木誠一郎
    (朝日新聞記者=医療、ネット)
    2022年10月26日19時40分 投稿
    【解説】

    年金の将来は、直近の19年検証では、厚生年金で所得代替率(平均手取り収入に対するモデル世帯の年金額の割合)が50.8%(経済成長が中間的な見込みの場合)で、今より約2割は低下するものの、50%は維持できる予測。一方、自営業者や非正規雇用者ら