法廷で遺族へ「おわび」、検察側がさえぎる場面も 栃木の雪崩事故
栃木県那須町で2017年3月、登山講習中の県立大田原高の山岳部の生徒ら8人が死亡した雪崩事故。25日に宇都宮地裁で開かれた初公判では、遺族側が申し立てた民事調停には姿を見せなかった講師役などの3教諭=業務上過失致死傷罪で在宅起訴=が姿を見せ、1人は謝罪の言葉を口にした。しかし、罪状認否では「雪崩は予測できなかった」として無罪を主張し、起訴内容について争う姿勢を見せた。
在宅起訴されたのは、講習会会長だった猪瀬修一被告(56)、亡くなった8人の班を引率した菅又久雄被告(53)、当日の計画づくりに関わった渡辺浩典被告(59)の3人。
猪瀬被告は罪状認否の冒頭で、事故で亡くなった生徒や教諭に対し「あらためておわびします。すみませんでした」と述べ、遺族らが座る検察側の席に向けて頭を下げた。しかし、「まったく雪崩は予想できなかった」と予見可能性は否定し、検察側が指摘する情報収集不足については「朝も天気予報は見たと思う」と話した。
主任講師だった菅又被告も罪状認否で謝罪するような姿勢を示したが、検察側が「罪状認否は謝罪する場所ではない」と訴えたため、謝罪の言葉は口にしなかった。
菅又被告は、ラジオの天気予報で情報収集をしたが、大雪・雪崩注意報が出ていたことを認識していなかったと説明。そのうえで、漫然とした訓練ではなかったと訴えた。渡辺被告は、見える範囲で訓練を実施しており、「(天気などの情報収集は)必要なかった」と述べた。
検察側は冒頭陳述で、3教諭が大雪・雪崩注意報などの情報収集を一部でも行っていれば、雪崩が起きる状況が容易に分かったと指摘。安全区域を出た場合の連絡体制についても定めず、現場での過去の雪崩発生状況も知ろうとしなかったとした。
次回公判は12月20日。(石原剛文)
再発防止、ガイドライン改定へ
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- 【解説】
高校の山岳部員7人と引率教員1人が死亡し、40人が負傷したこの事故は、山岳事故でもある一方、最大級の「部活動の事故」でもありました。 那須雪崩事故遺族・被害者の会はその観点から、「とちぎモデル」と名付けた改革案を提言しています。 柱