二酸化炭素に「価格」、政府が制度案検討 150兆円投資実現するか
政府は26日、2050年の脱炭素に向けた取り組みを議論するGX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議で、「成長志向型カーボンプライシング構想」を発表した。岸田文雄首相は、11月にも開かれる次回会議で、二酸化炭素(CO2)に「価格」をつける制度の案を示すよう指示した。
経済産業省は、脱炭素の実現には今後10年で官民合わせて150兆円超の投資が必要としている。このうち20兆円を政府が新たに発行する「GX経済移行債」(仮称)で調達し、企業に補助金を出すなどして投資の呼び水とする方針だ。
その国債の返済財源として、政府はカーボンプライシング(CP)を活用する。CO2を排出するほどコストがかかるようにすることで削減を促す仕組みだ。企業間で排出量を取引する「排出量取引」や、排出量に応じて課す「炭素税」や賦課金などの方法がある。
岸田首相は会議で「賦課金と、排出量取引市場の双方を組み合わせるハイブリッド型とするなど効果的な仕組みを検討する」よう西村康稔経産相に指示した。
排出量取引については、9月から「カーボン・クレジット市場」という実証事業が始まっている。再生可能エネルギーの利用などで削減した分を株式や債券のように売買している。
政府は26年度に排出量取引の本格導入をめざす。産業界の負担に配慮し、CO2の価格を段階的に上げることを想定する。負担が将来的に大きくなることが分かれば、脱炭素に向けた企業の投資が早まるとみる。
今のところ企業の参加は自由…