1位は「silent」か「エルピス」か 放送記者の秋ドラマ5選

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 この秋の各局の連続ドラマが出そろいました。序盤を見た放送担当の記者が、心を動かされたシーンや注目ポイントをざっくばらんに語り合いました。ゴールデン・プライム帯を中心とした16作から、「記者推し」のベスト5を投票で選出。秋ドラマのイチオシに選ばれたのは――。

毎クール恒例のドラマ座談会。「豊作」と評判の今期、おすすめ上位2作品は特に話が止まりませんでした。【担当記者】伊藤宏樹(43)、土屋香乃子(28)、照井琢見(28)、中沢絢乃(30)、西田理人(30)、平賀拓史(30)、野城千穂(28)

5位 「一橋桐子の犯罪日記」

 平賀 では5位から。「一橋桐子(きりこ)の犯罪日記」(NHK・土曜夜10時)は、お年寄りが生活苦から刑務所に入る手立てを考える重いテーマ。ただ、「闇」を感じさせず、コメディーを交えて程よく描いた。松坂慶子が、上品なのに世間知らずで取り残されたおばあちゃん役にはまっている。宇崎竜童草刈正雄と、重厚な布陣が脇を固めるのもNHKならではだね。

4位 「PICU」 吉沢亮の熱演に共感

 土屋 4位の「PICU 小児集中治療室」(フジ系・月曜夜9時)は、経験の浅い小児科医・志子田武四郎(吉沢亮)が、北海道で小児集中治療室の立ち上げ期に奮闘する物語。1話では搬送された女の子が目の前で亡くなり、悔しさや悲しさを抱えてその後の会議で泣きだす。仕事と自身の感情のバランスがうまく取れないけど、踏ん張らなきゃ、という葛藤を、表情で示す吉沢の演技がすばらしい。記者になりたてのころを思い出して、動けなくなった。

 野城 小児集中治療のパイオニア植野(安田顕)はチームをまとめる立場だが、すべてを解決するのでなく、志子田らと同じ目線でどうしたら患者を救えたかを理性的に考え、周囲の協力を得ようとする。現実的な描写に共感できる。

 平賀 物語はほぼ北海道のみを舞台にして進む。東北の被災地を舞台の一つとしたドラマ「監察医 朝顔」も手がけた制作陣で、ドラマが東京で完結することへの違和感もあったようだ。主人公の「武四郎」は、幕末から明治の探検家で北海道の名付け親とされる松浦武四郎にちなむと聞いたよ。

 野城 フジはかつて倉本聰脚本の「北の国から」など「富良野三部作」を制作した。北海道と良い関係を築き、名作につなげてきたと思う。今作では、医療体制の描写を巡ってロケ地の美瑛町とトラブルがあったそうで、実在の地名を出してフィクションを作る難しさも感じた。

 伊藤 今期は「ザ・トラベルナース」(朝日系・木曜夜9時)や「祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録」(日テレ系・土曜夜10時)など医療ドラマが目立つね。

 平賀 新型コロナで注目され、集中したのでは?

 照井 医療ものがなかった春と夏が珍しかったのかも。「祈りのカルテ」は研修医の奮闘物語だが、院内で患者の急変を知らせる「コードブルー」との呼びかけがあった瞬間、医師たちがエレベーターに殺到してあふれる場面に興ざめした。コロナで医療が身近になり、世話になる場面が増えた一方、コメディータッチで医療を描くのは難しいと感じた。

3位 「ファーストペンギン!」 痛快な主人公

 土屋 3位の「ファーストペンギン!」(日テレ系・水曜夜10時)は、男だらけの漁業界で新ビジネスを成功させた女性の実話がモデル。強い意志を持って、壁にぶち当たりつつも進んでいく主人公の和佳(のどか)(奈緒)が痛快だが、周りの女性たちも魅力的だ。漁師らはもどかしい思いを抱えつつ、少しずつ彼女に手を差しのべる。助け合おうとする女性の連帯も見られる。

5位から3位に読者の皆さんの推しドラマはあったでしょうか。見出しでばらしてしまいましたが、記者の投票ではフジ系の「エルピス」と「silent」の2本が抜きん出ていました。記者7人のうち5人が1位に選んだ秋ドラマイチオシは?

 一番好きなのは、魚の直販ビ…

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