星野道夫がクマの写真で伝えたかった事 急死から26年、妻の思い

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聞き手・日浦統
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 アイヌ民族がキムンカムイ(山の神)とあがめたヒグマ。日本で唯一の生息地である北海道内では近年、人とのあつれきが目立つ。米国アラスカの動物写真で知られる写真家の星野道夫さんは26年前、ロシア取材中、クマに襲われて急逝した。いまも「クマを憎んだことはない」と語る妻の直子さんに、人とクマの共生について聞いた。

ほしの・なおこ 1969年東京生まれ。91年に星野道夫さんと知り合い、93年に結婚。94年に長男を出産。夫の死後は日本とアラスカを行き来しながら星野道夫事務所代表として作品を管理している。今年は道夫さんの生誕70年。写真展「悠久の時を旅する」が11月19日から東京都写真美術館で開催される。

 ――道夫さんは著書で「クマの存在を意識することは贅沢(ぜいたく)なことで、人間が忘れている生物としての緊張感を呼び起こしてくれる」と書いています。

 「最初にまとめた写真集もクマで、残された写真の数もクマとカリブーが他の動物に比べ、圧倒的に多いんです。道夫さんにとってクマは特別な存在だったと思います。他の動物と違うのは、自然界で生態系の頂点にいる点。クマの存在を意識できるかどうかで、野外でキャンプをするときの緊張感は違います。その存在がマイナスなのでなく、他の動物にはない存在感があるという思いだったのかなと思います」

 ――1993年秋、アラスカのカトマイ国立公園でのクマの撮影に同行したそうですね。

 「車で行ける所ではなく、着…

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