第7回漬物の食中毒は現代化が生んだ 私たちにも心当たりある識者の指摘
編集委員・沢伸也
【動画】農事組合法人初代代表理事の吉岡一男さん
東京都心から北東に約30キロ、国道16号が印旛沼から流れ出た川をまたぐ橋のたもとにある「道の駅やちよ」(千葉県八千代市)。ここを訪れる客に人気の漬物を作って売っている農家にも、食品衛生法改正の影響は表れていた。(文中敬称略)
法改正で規制が強化される漬物の製造販売について、農産物売り場を運営する農事組合法人「クラフト」に保健所から指導文書が届いたのは昨年3月ごろのことだった。
文書には、国の施設基準を満たすような加工施設が新たに必要になるという内容が記されていた。
これまでも、食品表示の方法など国から食品販売の仕組みの変更で指示を受けることは何度もあった。農事組合法人の代表理事、周郷崇は今回の法改正についても「『またか』という感じで応じるしかない」と話す。
どのような影響を見込んでいるか。
「漬物をつくるのは小回りの利く小さな農家が多い。小さな農家が加工所なんてつくるのは難しいし、ほとんどの人が漬物販売をやめてしまうだろう」
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昔ながらの保存食だった漬物が、なぜ食中毒、食の安全と結びつけて語られるようになっていったのか。この連載の冒頭に登場した「漬物博士」、東京家政大客員教授の宮尾茂雄に改めて聞くことにした。
知っているようで知らない漬…