囚人429号のホテルに現れたコッチェビたち 欲しがったものとは
牧野愛博
韓国系米国人の金東哲(キムドンチョル)氏(69)は、2015年10月に北朝鮮でスパイ活動を行ったとして拘束された過去がある。18年5月に解放されるまで「囚人429号」として抑留生活を送った。北朝鮮当局に逮捕される前、中朝国境近くの羅先市でホテルを経営していた金氏は、コッチェビと呼ばれる浮浪児の集団をよく見たと証言する。
金氏は05年から、北朝鮮東北部にある経済特区の羅先市で、外国人専用の「豆満江(トマンガン)ホテル」を経営した。当初は5階建てで75部屋。中国人の旅行客を中心に繁盛したので、もう1棟増築し、計105部屋にした。
中国の客は、日本円に換算して1泊4千円ほど。収益は年間90万~110万ドル(約1億3千万~1億6千万円)にのぼった。そのうち、約70万ドルを市側に上納した。「誰が泊まり、何を話したか」も、すべて報告した。
ホテルでの炊事や洗濯などの…