74歳、その一文に希望を懸けた パートナーシップ制に託した願い
「パートナーシップ関係に基づく養子縁組により当該関係に該当する場合を除く」。この一文にひかれて、大塚隆史さん(74)は申請することを決めた。望みを懸けたといっていい。大切な相手と結婚するという、ごく当たり前で、それでも一度は諦めざるをえなかった願いを現実のものとするために。
性的マイノリティーのカップルを公的に認める「パートナーシップ宣誓制度」を、東京都が11月1日に始めます。事前申請は10月28日朝までに137組。大塚隆史さんは、同性婚の実現ともう一つの願いを込めて、養子縁組を結んでいるパートナーと申請しました。
大塚さんは東京・新宿で40年間、バー「タックスノット」を経営してきた。20年前、客として来店したのが伸二さん(51)。話をすると、自分の母校の美術大に公務員として働きながら通っていると知った。「芸術への関心や物事の考え方。お互いに気が合って」と当時のことを話す。交際を始め、その1年後、大塚さんのマンションで同居を始めた。
年の差23歳のカップルだけに、自分の身に病気や事故でもしものことがあった時のことを考えた。「50代という自分の年齢ですよね」。同性婚が認められていない以上、伸二さんに財産を残す方法として考えたのが養子縁組だった。ただ、その場合は、ある希望を諦めなければいけないというジレンマがあった。
民法には「養子解消後の当事…