北陸の風土と知恵の詰まった発酵食味わう 福井の美術館
北陸の豊かな食材を生かした発酵食の展覧会「発酵ツーリズム にっぽん/ほくりく」が、金津創作の森美術館(福井県あわら市)で開かれている。発酵の鍵を握る微生物や気候を味方につけて、食材の味を引き立たせ、長持ちさせてきた先人の知恵を学ぶことができる。
日本各地に伝わる発酵食のサンプル70種以上が並ぶ。特に解説が手厚い北陸の展示では、サバを米ぬかで漬けた「へしこ」、へしこに米を詰めて漬けた福井の「なれずし」、フグの卵巣をぬか漬けにして無毒化した石川の珍味「ふぐの子」などを紹介している。
企画した発酵食の研究家、小倉ヒラクさん(39)は「発酵食を味わい、調べると、土地の歴史や風土、民の記憶が見えてきます」と魅力を語る。
30日には会場で、富山県朝日町に伝わる「バタバタ茶」の試飲会があった。真っ黒に発酵した茶葉を鍋で煮出し、茶せんで泡立てて飲む動作がバタバタしていることが名前の由来という。参加者は鍋から立ち上がる湯気の香りを楽しみながら、「泡が立つと渋みがまろやかになる」と味の変化を感じていた。
12月4日まで。入館料は一般1千円、中高生600円、小学生以下無料。(乗京真知)
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