みんなの意思を運営に反映 SDGsに沿う協同労働の法人化が始動

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編集委員・沢路毅彦
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2030 SDGsで変える

 雇われるのではなく、地域や社会に必要な仕事を自ら作り、自ら働く――。「協同労働」と呼ばれる働き方に法人格を与える労働者協同組合法が10月に施行されました。SDGs(エスディージーズ)(持続可能な開発目標)が目指す課題解決や働きがいに通じる動きとして注目されています。(編集委員・沢路毅彦)

 「魚の販売をこれから始めます」

 9月下旬の午前11時過ぎ。沖縄・宮古島北部の狩俣地区に放送が流れると、地区の集落センターに続々と人が集まってきた。売られていたのはミジュン。沖縄ではなじみのあるイワシ系の魚だ。酢漬けにしたり唐揚げにしたりして食べる。5キロ千円。飛ぶように売れていく。

自治会長は地区の「これから」に危機感を抱いた

 ミジュンはスーパーで売られているが、大量にとれると、捨てられたり無料で配られたりしている。少しでもお金にしようと、狩俣自治会の役員が協力して直販事業を始めた。会長を務める國仲義隆さん(51)は45歳まで電力会社に勤め、島外でも働いた。地元へ戻り2020年から、活動をひっぱっている。

 自治会は今年で120周年を迎えたが、少子高齢化が止まらない。1969年に1500人近くいた地区の住民は現在約460人。若者が住み続けられる地域にしようと義隆さんたちがまず取り組んだのが、幼稚園の“復活”だ。入園者が宮古島市の基準を下回り休園状態だった狩俣幼稚園。地区外の幼稚園や保育園に通わせている保護者らと話し合いを重ね、21年度に再開にこぎつけた。

 預かり保育を利用する保護者…

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    北郷美由紀
    (朝日新聞編集委員=SDGs)
    2022年11月30日0時54分 投稿
    【解説】

     昨年6月に千葉・流山市の中核病院を裏方で支える協同労働の事業所を取材しました。意見を出し合いながら共に運営に責任を持つ働き方は、会社員の働き方とは異なるものでした。異なるがゆえ、企業での仕事になじみにくい人や、ハードルがある人たちが働く場