岸田首相も安倍氏も食べた高級ブドウ、韓国に流出 裏目に出た戦略

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川辺真改
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 石川県産ブランドの高級ブドウ「ルビーロマン」の苗木が、海外流出したことが発覚した。だが、国際的な条約の規定により、海外では栽培・増殖の差し止めなどの法的な措置をとることはできない。対策が遅れた背景には、ある「戦略」の影響があった。

 ルビーロマンは、今年7月の初競りで1房150万円もの値がついた高級ブドウで、海外でも高い評価を得ている。そのブドウが海外に流出している――県の担当者が知ったのは昨年8月。韓国で売られているというテレビ報道がきっかけだった。

 今年8月、県は韓国で現地調査を実施。ソウル市内の百貨店や高級スーパーの計3店舗で「ルビーロマン」として売られていたブドウを購入し、3房を国の研究機関でDNA鑑定したところ、県産のルビーロマンと遺伝子型が一致した。

 生育期間から、5年以上前には苗木が流出していたとみられる。県は農家に苗木の管理について聞き取ったが、原因の特定には至らなかった。

 ルビーロマンは、1粒の重さが20グラム以上、糖度が18度以上の、大粒で甘みのある果実が特徴だ。1995年から14年をかけて県が開発した独自ブランドで、2012年から海外への輸出が始まった。販売額は右肩上がりで、昨年は香港や台湾、シンガポールなどで約6千万円に上った。

 PRで首相官邸にもたびたび贈呈されている。今年8月には新型コロナで療養中の岸田文雄首相がリモート先で試食し、「大変豊かな味わい」と述べ、15年には安倍晋三首相(当時)が「ジューシー」と表現した。

海外への農産物流出を防ぐ方法は大きく分けて二つあるそうです。記事後半では、県がそこに踏み切れなかった理由や他の品種の「損失額」を取り上げています。

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