寄宿舎の保護者が県教委へ公開質問状 合理的理由は

小野智美
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 知的障害のある子どもが学ぶ那須(那須塩原市)、栃木(栃木市)両特別支援学校寄宿舎の廃止について、寄宿舎を利用する子どもの保護者らが1日、県教育委員会の阿久沢真理教育長にあてて公開質問状を出した。寄宿舎を廃止する合理的理由を、12月1日までに文書で回答するように求めた。

 公開質問状を提出したのは、2校それぞれの保護者らでつくる「那須特別支援学校寄宿舎の存続を求める会」と「栃特寄宿舎の存続を求め未来につなぐ会」。

 公開質問状は全14問。1問目で国の報告書が寄宿舎を「生活リズムをつくるなど生活基盤を整え、自立し社会参加する力を養う貴重な場」として「一層の活用を期待」と掲げたことに言及。「県はなぜ反対に閉舎しようとしているのか」と問い、その合理的理由の説明を求めている。

 2問目では、県教委が寄宿舎の設置目的を「通学困難者」に限定している根拠の説明を求め、「寄宿舎の教育的意義についてどのように評価しているか」と尋ねた。県教委は廃止の決定にあたり、設置目的を「通学困難者のため」とし、通学困難な寄宿舎生の人数が近年はひとけた台の那須、栃木両校は「通学困難が解消されてきた」と結論づけた。

 また、10問目では「教育的サービスの公平性」も問いかけている。現在、知的障害の子どもが通う県立特別支援学校10校のうち、寄宿舎は那須と栃木の2校にしかない。県教委は2校の廃止について、他の特別支援学校との「公平性も担保できる」としていた。質問状では「教育的資源が少ない特別支援学校にあわせて公平性を図ろうとするのが行政の仕事でしょうか」と尋ねたうえで、廃止が公平であるという根拠の説明を求めた。

 県教委は2015年度に2校の寄宿舎の老朽化を問題とし、16年度から廃止に向けた議論を始めた。昨年11月に廃止の公表があった後、那須の保護者らが署名約7千筆とともに説明会を要望。那須の保護者向けの説明会は今年3月と5月の2回、栃木の保護者向けの説明会は9月の1回、開かれた。

 「存続を求める会」代表の櫻井宣子さんは「納得いく説明はまったくない」と語り、「未来につなぐ会」代表の伊藤陽子さんは「私たちの疑問を聞いてもらえる場も時間もなかった」と話した。

 公開に踏み切った理由について伊藤さんは「多くの県民、全国のみなさんにも知っていただきたい。回答も何らかの形で公表したい」と語った。(小野智美)

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