蒸しパン食べてアルコール検知 「業界で常識」、市バス運転手を処分

島脇健史
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 乗務前に呼気から基準値以上のアルコールが検知されたとして、大阪府高槻市は、市営バスに勤務する男性運転手(49)を戒告の懲戒処分とした。10月31日付。運転手は「蒸しパンを食べて出勤した」と説明しているが、パンに含まれるアルコール成分が反応した可能性が高いという。

 市交通部によると、運転手は10月23日午前9時過ぎ、営業所に車で出勤。乗務前のアルコール検査で、呼気から、市の内規で定める基準値(1リットルあたり0・07ミリグラム)を超える0・11ミリグラムのアルコールが検知された。

 さらに15分かけて2回検査し、それぞれ0・11ミリグラム、0・081ミリグラムが検知された。道路交通法が定める酒気帯び運転の基準値(1リットルあたり0・15ミリグラム)は超えていなかったが、運転手の乗務は認められず、別の運転手が代行した。バスの運行に支障はなかった。

 運転手は出勤する10~15分前、車で営業所近くのコンビニに寄って蒸しパンを購入して車内で食べた、と説明しているという。

 市交通部によると、この蒸しパンに含まれる「酒精」という食用に使われるアルコールが、検知器に反応した可能性が高いという。市交通部ではパンのほか、栄養ドリンク、うがい薬、キムチなどの発酵食品も、検知器で反応する可能性があるとして、乗務直前に食べないよう、営業所内で貼り紙をするなどして注意喚起していたという。

 運転手は勤務歴約20年のベテランで、このことも知っていた。「この日は起床が遅れて急いでいて、朝食がまだだったと思い、直前にパンを食べてしまった。業務に支障をきたして申し訳ない」と話したという。

 担当者は「乗務直前にパンを食べたらいけないというのは、バス業界では常識。お客様に安心して乗っていただくことが大事で、アルコールが検知されたことは重たい。改めて周知徹底して、再発防止に努めたい」と話している。(島脇健史)

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