学齢期に中学校に通えなかった人や外国出身の生徒が通う「夜間中学」。近年は不登校の生徒の受け皿としても期待され、現役中学生を受け入れる試みも始まっています。少しずつ変わりゆくその姿と、これまでと変わらぬ「学びの場」の価値とは――。(宮崎亮)
10月30日、奈良県橿原(かしはら)市の市立畝傍(うねび)夜間中学のイベント「MEET THE 夜間中学」で、生徒によるエッセーの発表があった。
会場は地元の小学校の体育館。最高齢の西田正江さん(95)は来場した約130人の前で、大阪市内で過ごした子ども時代をつづった文章を読み上げた。
〈空襲に二回あいました。ようけ死んだ人を見ました。電柱にぶら下がっている人も見ました〉
疎開先ではヨモギなどの雑草をたくさん摘んで、わずかな米と混ぜて食べた。
〈爆撃がなくても毎日が生きるか死ぬかの戦いでした〉
最愛の兄も戦後に体を壊し、20代で亡くなった。
〈戦争は 絶対したらあかん。なんぼはらたっても 戦争だけはしたらあかんということを言いたくて書きました〉
義務教育の未修了者、90万人
西田さんは妹の世話のため小…