ヌーボーは「山梨」で 円安でボージョレ割高、脚光浴びる日本ワイン
3日に解禁される山梨県産ワインの新酒「山梨ヌーボー」が、例年になく脚光を浴びている。2週間遅れで17日に解禁されるフランス産ボージョレ・ヌーボーが、ウクライナ情勢や急激な円安の影響で割高となるのを見込み、山梨のワイナリーには多くの注文が殺到。こぞって生産量を増やしたからだ。3日には東京・日比谷公園で解禁イベントも開かれる。
山梨ヌーボーは、県内で収穫された日本固有種のブドウの「甲州」と「マスカット・ベーリーA」の2品種で醸造した新酒を指す。繊細さが特徴の「甲州」はもっぱら白ワイン、軽やかな口当たりの「マスカット・ベーリーA」は赤ワインに使われる。
山梨県は日本ワイン発祥の地とされ、ワイナリー数や国産ブドウのみを原料とする日本ワインの生産量は全国一。フランスのボージョレに対抗しようと、地域を代表するこの2品種の新酒に、2008年から解禁日が設けられた。全国的な浸透はまだまだだが、今年は例年と様相が異なる。
ブドウ畑にワイナリーがひしめく
ブドウ畑の中に大小のワイナリーがひしめく甲州市の勝沼地区。「ロリアン」の銘柄で知られ、コンクールで高い評価を受ける白百合醸造は例年の2倍、1万本の山梨ヌーボーを生産した。「予約も好調で売り切れに近い。クリスマスの時期まで残っていることはないだろう」と内田多加夫社長は喜びの声を上げる。
今年は天候に恵まれ、糖度の高いブドウが出来た。一方で粒が小さく収穫量は少ないという。「ヌーボーに原料を回し、先々足りなくなる心配もある。それでも多くの人に、外国産ではなく、山梨の畑で収穫したブドウのワインを味わってほしい」と期待している。
原料のブドウにこだわる「くらむぼんワイン」も、例年の2倍にあたる3千本を用意した。「予約が殺到したので、現在は受け付けを中止している」(野沢たかひこ社長)
勝沼など国内3カ所にワイナリーがあるシャトー・メルシャンの安蔵光弘ゼネラル・マネジャーは「ウクライナ情勢を受けてボージョレ・ヌーボーの価格が上がり、日本ワインが注目されている。中でも量が多い山梨に期待が集まった」と分析する。
山梨ヌーボーの原料となる2…