「なぜお金を奪うのか」 消えた郵便貯金に嘆く客、1年で457億円

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藤田知也
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 10月中旬、ゆうちょ銀行から1通の手紙が年金暮らしの男性(73)に届いた。

 〈気持ちはお察ししますが、法令に基づく措置であることをご理解ください〉

 かつて郵便局に預けた50万円が、1円も戻ってこないことを告げていた。

 「将来の備えに預けたお金を奪うようなことをしていいのか」

 男性は愛知県豊橋市在住。8月2日付の朝日新聞で、郵政民営化前の定額貯金などは満期から20年2カ月が過ぎると権利が消えることを知った。このケースで消滅した貯金の総額は2021年度で457億円、民営化後の累計で約2千億円にのぼる。

 まさか――。

 身に覚えがあった男性は、貯金の書類を捜した。1984年の証書を見つけ、9月初めに二つの郵便局へ相談に出かけた。

届かなかった通知 「名寄せ」されていれば

 大型郵便局の担当者は「引き…

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