習近平氏、権力集中の3期目 3万字を割いた「中国式現代化」の意味

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記者解説 中国総局・冨名腰隆

 中国共産党習近平(シーチンピン)総書記(国家主席)が率いる、3期目の新たな指導部が10月23日に発足した。

 「2期10年まで」としてきた国家主席の任期の制限は2018年に撤廃した。69歳で党大会を迎えた習氏が暗黙のルールである「68歳定年制」を突破できるのか注目された。

 党内外の一部には過度な権力集中への懸念もあったが、結果はあっけなかった。国内外の多くの人が「続投は当然だろう」といった感想を抱く状況こそ、習氏が時間をかけて生み出したものだ。ライバルや後継候補を徹底的に排除し、自らの権威を高めるさまざまな手を打ってきた。

 党の憲法にあたる党規約改正では、毛沢東と並び立つ党主席制の復活や「領袖(りょうしゅう)」の呼称を習氏が得ることは見送られた。個人崇拝化への警戒に配慮した格好だが、これも習氏が実を得るための合理的な判断であったようだ。

 人事では習氏の意向がはっきりと現れた。地方時代の元部下らを最高指導部に多数登用する一方、かつて出世を競った李克強(リーコーチアン)首相を退任に追い込んだ。李氏と同じ共産主義青年団共青団)出身の胡春華副首相も降格し、ここに「1強体制」は完成を見た。

 中国共産党大会では、閉会日の会議中に胡錦濤前総書記が促されるように退席したことも、世界の関心を集めた。「事前に人事を知らされなかった胡氏が異議を唱えた」との臆測も出ているが、私の見方は違う。

 国営新華社通信が英語版ツイ…

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    江藤名保子
    (学習院大学法学部教授=現代中国政治)
    2022年11月6日19時2分 投稿
    【視点】

    党大会の活動報告を受けて、各紙が一斉に台湾問題を報じたことに疑問を感じていました。他の中国研究者と話しても、台湾に関する記述には新味がなく、習指導部の方針はこれまでの延長線上にあるとの見方で一致しています。 日本で危機感が高まった原因の一