党大会前に相次いだ取材ドタキャン 1強が生んだ「やりすぎ」な忖度
北京=高田正幸
「すまない。10月16日の後まで会うことができなくなった」。9月のある夜、中国のSNS「微信(ウィーチャット)」で短いメッセージが届いた。翌日に会う約束をしていた共産党元幹部からだった。
10月16日は中国共産党大会の開幕日だった。つまり、このメッセージは「党大会が終わるまでは会えない」という意味だ。
「またか」と思った。同様の「ドタキャン」が8月以降、何回も起きていたからだ。
8月下旬に会う予定だった改革派の学者は、約束のキャンセルを私に告げる微信のメッセージで「関係部門から会うなと言われた」と打ち明けた。彼の置かれてきた立場から、関係部門が公安部門を指すことは察しがついた。
「こんな緊張感は初めて」
なぜ私と彼の約束を公安が知…