あの夏、私の心を奪った吉居大和 数カ月後に鳴った電話 まさかの縁

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加藤秀彬
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 2016年の夏だった。

 仙台育英高の陸上部で男子長距離を指導していた真名子圭(きよし)監督(44)は、愛知県で開かれた中学生の大会を視察していた。

 当初の目的は、その年の全国中学校体育大会の1500メートルを制する有望選手を見ることだった。

 ところが、お目当ての選手のはるか後ろを走る、小さな少年の姿に心を奪われた。

 「タイムは良くないけど、姿勢、骨盤の位置、重心移動が抜群。この選手が欲しい」

 筋力さえつけば、大化けする予感がした。

 これが、吉居大和との出会いだった。

 選手を勧誘するときは、記録や走り方だけでなく、人間性を重視してきた。

 とにかく一度言葉を交わし、どんな人柄なのかを知りたくなった。

 でも、ルールで中学生を直接勧誘することはできない。

 そこでレース後、追いかけて…

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    野村周平
    (朝日新聞スポーツ部記者=スポーツ行政)
    2022年11月7日18時49分 投稿
    【視点】

     陸上は詳しくありませんが、この記事には一人のコーチが、若くて粗削りな才能を発見し、その少年の人間性をどう見極めて関係を紡いでいくかというプロセスが明確に示されています。文章から、どうしても彼を育てたいという思いがほとばしっていました。