第2回ミシャの神髄は「美しいパスサッカー」ではない ゴールからの逆算力

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潮智史
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 選手たちのウォーミングアップが始まると、ミハイロ・ペトロビッチ(愛称ミシャ)監督はいつものピッチ脇の椅子に座ってコーヒーをすする。

 札幌市西区宮の沢にあるコンサドーレ札幌の練習場。ピッチ全体を見下ろせる場所から、選手の表情や動きに視線を配り、そこから見える心理状態も把握しようとする。

 プレーへの自信を失っていないか。家族に問題は起きていないか。サッカーに集中できているか。すぐれない表情を見つければ、「ダイジョウブ?」と声をかける。

 ミシャの誕生日パーティーも恒例だ。選手やスタッフが家族を伴って集まり、交流する。ミシャ自身のいう「チームはかけがえのないファミリー」を誰もが実感し、絆を深めていく。

 「選手を第一に考えて、気持ちも把握している。『指導者は、選手の頭の中に入り込まないとだめなんだ』と口癖のように言っている」

 そう話すのはコーチ兼通訳の杉浦大輔(48)だ。

 2006年の夏、ミシャとサンフレッチェ広島の織田秀和強化部長(当時)がオーストリア・グラーツで最初に行った契約交渉に立ち会い、そのまま17年に及ぶ歳月の間、ミシャの隣でそのすべてを見てきた。ミシャの哲学、サッカー観、攻撃的なスタイルへのこだわりとともに、それらの変化を最も理解するひとである。

 広島から浦和レッズ、札幌と…

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