誕生日に「たこ焼き食べたい」と言った女の子 わけを知った大学生は
追手門学院大学(大阪府茨木市)3年の田中育(はぐみ)さん(21)=大津市=が、母親の紹介で大津市のNPO法人「こどもソーシャルワークセンター」が運営する子ども食堂でボランティアを始めたのは、今年2月のことだった。
共働きだった両親の代わりに、小さい頃から弟と妹の世話をすることが多かった。苦には感じず、むしろ楽しかった。
子どもに関わる仕事がしたいと思い、大学では発達心理学を学んでいる。だから、子ども食堂にも関心をもった。
「今日のテスト全然だめだった」「調理実習でサラダ作ったよ」
気さくに話しかけてくれる子どもたちとの会話の一つひとつが、やりがいに思えた。
この子ども食堂には「お誕生日メニュー」がある。誕生日を迎える週には、その子の好きな料理をリクエストできる仕組みだ。
野菜好きの女の子、選んだのは…
ボランティアを始めて1カ月ほど経った時、高校生の女の子が誕生日を迎えようとしていた。
「誕生日メニュー、何がええ?」
そう聞くと、「たこ焼き」と返ってきた。
不思議に思った。普段は油を使った料理はあまり食べず、野菜を好んで食べる女の子だったからだ。
当日、ボランティアの大人と子どもたち、合わせて15人ほどで二つのたこ焼き器を囲んだ。
油を引く。くるくると回しながら丸い形を作る。ソースやマヨネーズを思い思いにかけてほおばる。
会話は弾み、大いに盛り上がった。
でも、その女の子は2~3個しか食べていない。
「なんでたこ焼きにしたん?」
女の子は満足そうな笑顔を浮…