第28回「才能を信じて突き進み、大輪の花を」 勇気をくれた寂聴さんの言葉

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岡田匠
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竹内紀子さんに聞く④

 瀬戸内寂聴さんの99年の生涯のなかで、出奔と出家は大きな節目だ。寂聴さんが徳島で開いた文学塾「寂聴塾」の塾生の竹内紀子さん(64)は、明るさの後ろに隠された寂聴さんの虚無的な一面を感じている。人生の支えになった寂聴さんの言葉も教えてもらった。

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寂聴さんとゆかりのある方々へのインタビュー連載です。随時更新しています。

 ――波瀾(はらん)万丈の人生のなかで、特にすごさを感じるのは、どんな点ですか。

 出奔と出家は、人生の大きな境目です。出奔ですが、夫の教え子だった青年と恋に落ち、1948年に夫と娘を残して家を飛び出します。駆け落ちしたと思っている人もいますが、駆け落ちではありません。先生だけが家を出て、青年は残っています。私は、その前、中国から引きあげてくる直前に患った大病の影響があると考えています。

 ――どういうことでしょうか。

 先生は戦時中、北京に赴任していた夫のもとに渡ります。北京で敗戦を迎えたあと、中国に骨を埋めたいという夫にしたがい、隠れ住んでいるときに肋膜(ろくまく)炎にかかります。当時のことですから薬が手に入らず、3カ月間、寝ているしかありませんでした。そのとき、人生を振り返ります。

長い人生で様々な経験をした寂聴さん。竹内さんに伝えた言葉は前向きなものでした。記事の後半で語られます。

 自分が受けてきた忠君愛国の…

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