那智勝浦にもパートナーシップ制度を レインボーフェスタ開催

国方萌乃
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 性の多様性を知ってもらうイベント「レインボーフェスタ那智勝浦」が6日、和歌山県那智勝浦町であった。実行委員会代表でトランスジェンダーの丸山都さん(32)と三重県伊賀市在住のゲイカップルのトークショーがあり、同性カップルを自治体が公的に認める「パートナーシップ制度」の必要性について語りあった。

 丸山さんは女性の体に生まれ、男性として那智勝浦町で生活している。戸籍上は女性だから、現行の法律では恋人の女性と結婚できない。自分が暮らす町にだけでもパートナーと認めてもらいたいが、町にパートナーシップ制度はない。

 トークショーで「那智勝浦に制度がないのはもったいない。お二人に話を聞かせてもらえれば」と話を向けた。

 ゲストとして登壇したのは、加納克典さん(43)と嶋田全宏(まさひろ)さん(46)。2人は大阪から伊賀に移住し、2016年に伊賀市のパートナーシップ制度で宣誓した。ステージで伊賀での「夫夫」生活について語った。

 2人は「地方はLGBTQへの偏見が強いのでは」と考えていたから、移住した当初は不安もあったという。でも暮らし始めると、近所のおばあちゃんたちが食事会に呼んでくれ、2人のことをわかろうとしてくれる。おばあちゃんたちがそれを家族に伝え、さらに理解は広がっていったという。

 加納さんは「勝手に思いこんで、勝手に恐れていたなっていうのがすごく反省」と語った。

 感じているのは、パートナーシップ制度がある町に暮らす心地よさだ。LGBTQの住人がいることを前提に行政が動いていく。

 「旅行や出張から帰ってきたときに、自分の居場所に、ふるさとに帰ってきたという感覚をはじめて持てた」と加納さん。

 嶋田さんは「地域の人たちの僕らを理解しようという優しさのおかげで僕らは暮らせている。ぜひとも、皆さんの優しさで那智勝浦でも制度を導入するお手伝いをしていただきたい」と呼びかけた。

 この日、会場では那智勝浦町にパートナーシップ制度導入をもとめる署名活動もあった。12月6日まで、オンライン署名が見出しのQRコードからできる。(国方萌乃)

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