仕組み債、販売停止相次ぐ 「売るかやめるか」迫った金融庁
高い利回りをうたうが、元本割れのリスクもある複雑な金融商品「仕組み債」の販売をやめる動きが金融機関で広がっている。勧誘を受けてリスクを理解せずに購入した高齢者が多額の損失を抱えるケースが続出。金融庁が問題視し、銀行や証券会社が販売の見直しに追い込まれた格好だ。
仕組み債は、金融派生商品(デリバティブ)を組み込んだ複雑な債券。株価などの指標に基づき、償還まで年率10%といった高い利息が得られるとうたう。ただ、指標が決められた上限を上回れば、償還が前倒しになって満期までの利息が得られなくなる。逆に指標が下限を下回ると、元本を大きく失うリスクがある。海外の金融機関が発行しているケースが多く、「EB債(他社株転換可能債)」などが代表的な商品だ。
仕組み債は地方銀行などが近年、積極的に販売してきた。日本銀行の金融緩和による超低金利の影響で、利ざやが稼げずにもうけが減る中、高収益が見込める仕組み債の販売を拡大。金融庁によると、銀行や証券会社の販売額は2016年度の3・8兆円から20年度に4・3兆円に。このうち、地銀が7千億円で、この間に2倍超に増えた。
しかし、今年に入り、金融機関の動きに変化が起きている。
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