第1回スタジアムも橋も中国が… 南の島で日本の建設マンが感じる歯がゆさ

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ホニアラ=西村宏治
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 飛行機からタラップへ踏み出すと、もわっとした湿気にあおられて汗がふき出た。常夏の島の気温は31度。空の青が濃い。

 オーストラリアの北東約1800キロ、南太平洋に浮かぶソロモン諸島。その首都ホニアラがある太平洋戦争の激戦地、ガダルカナル島に降り立ったのは10月下旬のことだった。

 係官がひとりだけの入国審査ゲートをすぎて空港ターミナルを出ると「KITANO」という看板が目に飛び込んできた。長野と東京に本社を置く中堅ゼネコン、北野建設の工事事務所だ。

 日本の無償援助による新たな空港ターミナルの建設と、市街地に向かう幹線道路の拡幅を手がけている。

 「あなた日本人? この道路も日本の会社がつくってるんだ。キタノだ。知ってる?」

 タクシーに乗り込むと、ジョージと名乗る運転手が、工事中のでこぼこ道を走らせながら言った。

 北野建設は1980年代から、ソロモン諸島のインフラ工事などを手がけている。経営不振に陥った国有ホテルも引き継いで経営していて、この島では、知らないひとがいないほどの存在だ。

 「ジャパン、ベリーグッド」。そう言ってくれるジョージさんのおしゃべりを聞きながら車に揺られていく。

【連載】大国のはざまで 立ち回るインド太平洋の国々

米中対立に揺れる新興国や途上国の現場を取材する連載です。第1回は、中国の進出が著しいソロモン諸島。記事後半では、日本人の建設マンが見た中国の進出ぶりを尋ねるとともに、暴動の現場となった中華街周辺の様子や住民たちの本音を探ります。

中国による採算度外視の「インフラ攻勢」

 すると、左手に波形の巨大な…

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    小暮哲夫
    (朝日新聞GLOBE副編集長=アジア)
    2022年11月14日18時15分 投稿
    【視点】

    米中、そして豪州、日本がせめぎ合い、いま、南太平洋で最も注目を集めるソロモン諸島。島国の視点から、現場の様子を伝える記事です。 「私たち現場からすれば、愚直に聞こえるかもしれませんが、まずはいいものをきちんとつくる。それしかないと思っ