第2回インドネシアが消したい「中国色」 高速鉄道と軍事訓練に込めた意思
青々と広がる田んぼの一角に広さ約9万平方メートルの建設中の巨大な駅がある。インドネシア中部、バンドンの郊外にあるテガルルアル駅だ。駅はまだ建設中だが、完成すれば、国内初の高速鉄道の終着駅になる。
駅へと向かう道路脇には平屋のプレハブのような作業員宿舎が立ち並ぶ。窓からのぞくと、赤色の紙に漢字が並んだポスターが見えた。中国語も聞こえてきた。
10月13日、この駅にインドネシアのジョコ大統領がやってきた。
白いヘルメットをかぶり、政権のスローガンの「INDONESIA MAJU(インドネシアを前へ)」と書かれたベストを着ている。インフラ建設など、肝いり施策を視察するときの定番スタイルだ。
【連載】大国のはざまで 立ち回るインド太平洋の国々
米中対立に揺れる新興国や途上国の現場を取材する連載です。第2回は中国の援助で初の高速鉄道事業を進めるインドネシア。「非同盟・中立」を掲げるインドネシアは、高速鉄道の車両のデザインにあるメッセージを込めました。後半では、米国などとの合同軍事訓練の意図についても紹介します。
インドネシアは中国の融資を受けて、首都ジャカルタとバンドンを結ぶ全長約142キロの高速鉄道を建設している。
車両は最速で時速350キロで走行し、今は在来線で3~5時間かかる道のりが約50分に短縮される。1日当たりの利用客は約3万人を見込む。
高速鉄道「インドネシアのものに見えるように」
この一大インフラプロジェク…