中国人街に暴動の爪痕、それでも強まる中国の影響力 ソロモン諸島
ホニアラ=西村宏治
南太平洋のソロモン諸島で、中国人街を狙った暴動が起きてまもなく1年。暴動は、中国の影響力を高める結果になっている。
焦げた壁、折れた鉄格子――。10月下旬、首都ホニアラの中国人街には暴動の跡がそのまま残っていた。
昨年11月24日。政府への抗議デモに加わっていた群衆の一部が暴徒化し、中国系の店舗などが放火や略奪の被害を受けた。
抗議デモの背景は、外交問題と地域間の対立だ。
2019年、ソロモン諸島は台湾と断交し、中国と国交を結んだ。これに最大の人口を抱えるマライタ島の地方政府が反発した。
だが暴動を受け、ソガバレ首相は中国警察との連携を強化。今年4月には中国と安全保障協定も結んだ。
中国は支援も強めている。ホニアラでは1万人収容の競技場などを無償で建設中。警察には様々な装備や車を提供し、警察官を中国に招いた訓練も始めた。
米国は警戒感を隠さない。1993年に閉じた大使館を近く再開し、地域への関与を強める方針だ。
米国とオーストラリアを結ぶ輸送ルート上に位置するガダルカナル島を中心とした島国は、米中対立の最前線になりつつある。(ホニアラ=西村宏治)
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