世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題をめぐり、岸田文雄首相は8日、記者団に対し、被害者救済に向けた新法について「政府として、今国会を視野にできる限り早く提出すべく最大限の努力を行う」と表明した。これに先立ち、公明党の山口那津男代表と官邸で会談。新法の主な内容について合意したことを明らかにした。
政府は、不当契約の取り消し権の要件を緩和する消費者契約法改正案を今国会に提出、成立させる方針だった。与党と立憲民主党、日本維新の会による与野党協議で、野党側は同法改正だけでは不十分だとし、家族ら第三者による寄付の取り消し権やマインドコントロール下での高額献金禁止を盛り込んだ新法を要求。与党側は「非常に難しい課題で時間的に厳しい」とし、今国会での対応は困難との見通しを示していた。
しかし、内閣支持率が続落し、政権の危機感は強まっていた。被害者救済に消極的とみられるのは得策ではないと判断し、方針を転換したとみられる。首相は記者団に対し、旧統一教会の被害者と面会したことも明らかにした。「凄惨(せいさん)な経験を直接聞いた。政治家として胸が引き裂かれる思いがした」とし、「政府として、被害者救済と再発防止のためにさらにペースを速めてさらに範囲を広げて、新たな法制度実現に取り組む決意をした」と述べた。
新法について首相は記者団に対し、「憲法の信教の自由や国民の権利義務に関わることから関係省庁の総力を挙げて、丁寧に検討を進めてきた」と強調した。与野党協議の内容も踏まえ、政府として法案提出をめざす考えを表明。新法の内容については、社会的に許容しがたい悪質な寄付の勧誘行為を禁止▽悪質な勧誘行為に基づく寄付の取り消しや損害賠償請求を可能とする▽子や配偶者に生じた被害の救済を可能とする――の3点を挙げた。
一方、寄付の規制については、宗教法人の創価学会を支持母体とする公明党が慎重な立場を示していたため、首相は山口氏と会談し、理解と協力を求めた。
とはいえ、政府内では、被害…
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この記事にもあるように大きなきっかけは読売新聞が報じた世論調査(7日)だと思います。 「内閣支持最低36% 9ポイント下落」とありました(11月7日)。いっぽう物価高対策など総合経済対策については「評価する」が62%でした。つまり読売調査
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世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題をめぐり、岸田首相が被害者救済の新法の整備に動き始めました。法案について「今国会を視野にできる限り早く提出すべく最大限の努力を行う」と表明しましたが、被害者救済の具体的な仕組みや実効性は見えません。