グラウンドを横切ろうとする影に気づいた時は遅かった。
投じたやりは、宙を飛んでいる。
当たらないでくれ!
2年前、鐘ケ江周さん(23)が慶応大競走部3年の時の出来事だった。
陸上競技のやり投げ、ハンマー投げ、円盤投げ、砲丸投げは、投てき物が誰かに当たれば、命にかかわりかねない重大な事故につながる。
そうした事故を防ぐため、鐘ケ江さんは練習で細心の注意を払っていたはずだった。
それでも……。
事故防止へ、慶大では主に三つのルールがあった。
学校の運動部活動で、部員が亡くなったり、重いけがを負ったりする大事故が繰り返されています。スポーツに打ち込む子どもたちの命を守るため、どんな取り組みが必要なのか。再発防止策について考えます。
一つ目は、本人が投てきをす…