ヘルソン撤退は「一種の損切り」 小泉悠さんに聞く、戦況の展望

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聞き手・根本晃
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 ロシアのショイグ国防相は9日、ウクライナ軍が攻勢を強めている同国南部ヘルソン州を流れるドニプロ川の西岸からのロシア軍の撤退を命じました。西岸には州都ヘルソン市も含まれます。今後、ウクライナ軍はさらに奪還作戦を進められるのでしょうか。ロシアの軍事・安全保障に詳しい東京大学先端科学技術研究センター専任講師の小泉悠さんに聞きました。

 ――撤退命令はどのような背景で下されたのでしょうか。

 ロシア軍はヘルソン市が位置するドニプロ川西岸を長期間維持できないことは承知していました。ドニプロ川にかかる橋がウクライナ軍の攻撃によって破壊されていたので、西岸の部隊への補給は困難でした。

 その上で焦点となっていたのは撤退の時期でした。ロシア軍は9月、北東部ハルキウ州方面で混乱状態のうちに撤退しました。その時のように戦線を支えきれない状況でも死守しようとするのか、注目していました。

 ――ハルキウ撤退の際はロシア軍に多大な損失が出ました。

 結果として、ウクライナ軍に大敗を喫する前にヘルソン市からの撤退を命令したのは、軍事的に合理性のある判断でした。

「ロシアとしても悪くない」

 プーチン大統領は作戦の細かい部分にまで口を出すなど軍の障害になっているという見方もありましたが、今回は拘泥せずに撤退を認めたということで、軍と政権の関係が一応は機能していることがわかりました。

 ――ヘルソン市からの撤退は…

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