「構造的な賃上げ」へ本格議論 政府、リスキリングと労働移動促す
政府の「新しい資本主義実現会議」が10日開かれ、岸田文雄首相が掲げた「構造的な賃上げ」に向けた議論が本格的に始まった。働き手にリスキリング(学び直し)を促し、成長分野などへの労働移動を進めて、中期的な賃上げにつなげたい考えだ。ただ、企業の賃金制度を見直す必要があるなど課題も多く、政府の思惑通りにいくかは見通せない。
「労働者に成長性のある産業への転職の機会を与える労働移動の円滑化。そのための学び直しであるリスキリング。これらを背景とした構造的賃金引き上げの三つの課題に同時に取り組みます」。この日の会議で岸田氏はそう語り、来年6月までの指針策定をめざす考えをあらためて示した。
政府が思い描くのは、働き手にデジタルなど新たなスキルを習得してもらい、自社の仕事に役立てるだけでなく、給与の高い成長産業への転職も促すことで、賃金を底上げすることだ。
具体策として、「人への投資…
- 【視点】
日本の賃金がどれだけ伸びていないか。 OECD 加盟国中34か国の名目賃金 について、1996年と比較した2021年の伸び率を見てみると、唯一、1996年より2021年の名目賃金が下がっているのが日本である。3.6%下がっている。次に伸び