地球温暖化で生じたという被害をめぐり、エジプトで開催中の国連の気候変動会議(COP27)で、途上国が先進国に助けを求めています。被害の実態は、どのようなものなのでしょうか。国土が消失の危機にさらされている、南太平洋の島国を訪ねました。
「気候変動との闘いよりも、戦争のほうに多くの資源が費やされるのを、私たちは目にしている。とんでもなく不幸なことだ」
9月下旬、ニューヨークで開かれた国連総会でそう訴えたのが、南太平洋に浮かぶソロモン諸島のソガバレ首相だ。
大小900を超える島々に約60万人が住むこの国には、温室効果ガスをほぼ出していないのに、気候変動のマイナス面を引き受けているという不満がある。
環境NPOの世界資源研究所(WRI)のデータでは、2019年の二酸化炭素(CO2)のひとりあたり年間排出量は0・5トンで、日本の17分の1だ。
そんなソロモン諸島のひとたちにとって、気候変動はどこでも身近に感じられるできごとだ。
■「海が近くなった」…
- 【視点】
「考えてほしいのは、失うものの大きさです」この言葉が全てを表現している。気候変動の原因をほとんど作っていないのにも関わらず、その影響を誰よりも早く受け続けるソロモン諸島。次世代は、故郷で生活していけるのか、いや、今日生きていけるか、そんな状
- 【視点】
中国と安全保障協定を結んだことで、アメリカ、オーストラリア、日本などが懸念を示すソロモン諸島。アジア太平洋の安全保障の観点から、ソロモンや太平洋の島国との関係を考えるのは、とても大切なことです。 一方で、気候変動は、小さな太平洋の島国各国