北朝鮮の相次ぐミサイル発射で全国瞬時警報システム(Jアラート)が発動された一方で、避難の時間もなく、システムの不具合も発生。アラートは何のため? どう対処すべきなのか。戦時下のウクライナにも滞在した時事ユーチューバー、たかまつななさんに聞きました。
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10月に5年ぶりのJアラート(全国瞬時警報システム)が鳴ったとき、私は取材でドイツに滞在していました。このニュースに接して、「あれ、どんな音だったっけ」とネット検索をしたのが正直なところです。
11月にも弾道ミサイルの発射を受けてJアラートが発動された際、政府が通過情報を訂正する事態になりました。結果的に犠牲者が出なかったことは何よりでしたが、私は多くの人が退避しようともしなかったことにJアラートをめぐる問題の根を感じます。
8月から10月にかけてヨーロッパを取材したのは、ウクライナで戦争が続いているのを受けて、新しい時代にふさわしい平和教育、平和学習をつくる必要があると感じたからです。私自身が活動を始めた原点の一つが、高校1年生の時に被爆者の方から直接お話を聞いたことでした。
首都キーウに約1週間滞在し、爆撃された現場に行ったり、一般の市民や教育関係者、ジャーナリスト、地方議員、歴史学者といった方々から話を聞いたりしました。
ウクライナ滞在中に空襲警報を何度も聞き、シェルターに避難もしましたが、地元の人はほとんど逃げていませんでした。慣れないと生活できないのかもしれませんが、慣れてしまい逃げ遅れてしまう可能性があるのは怖いと思いました。日本のJアラートは、逃げるように危機感を感じやすいようになっていますが、それでも逃げない人が多いのは問題に感じます。
逆にウクライナの人々からは…