杉浦達朗
「村から世界へ」をかけ声に、国内外の自動車業界で圧倒的な存在感を示す会社が群馬県榛東村にある。四輪駆動車(4WD)などのサスペンションやマフラーといったカスタムパーツ製造の「ジャオス」だ。11月に米国である世界最大規模のパーツ見本市に出展するほか、トヨタ車をカスタムした車両でメキシコの世界的オフロードラリーにも日本から唯一出場する。人口1万5千人ののどかな村から、国際的な舞台で勝負を重ねられるようになった理由とは。
1985年、東京・渋谷で創業。質の高いカスタムパーツの製造を手がけ、マニアから評価された。だが、99年に東京でのディーゼル車規制論議が活発化したことで、ディーゼル4WDの販売台数が激減。このあおりで、2000年に本社を工場のあった榛東村に移した。
ブドウ畑が広がる榛東村での再スタート。コストカットや業務効率アップのための移転だったが、赤星大二郎社長(50)は「決してポジティブな空気ではなかった」と振り返る。東京に住み続けたくて社を離れる従業員もいて、不安がつきなかったという。
光明となったのは、築いてきた技術と品質だった。
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