「朝、死刑のはんこを押し、昼のニュースのトップになるのはそういう時だけという地味な役職」。自身の発言が問題となり、辞任に追い込まれた葉梨康弘法相。死刑囚の冤罪を訴えて再審請求を続ける弁護士や、自らが死刑判決の裁判に携わった裁判員からは、怒りや落胆の声が出ている。
福岡県飯塚市で1992年に女児2人を殺害したとして久間三千年(みちとし)・元死刑囚が有罪となった飯塚事件。有罪の決め手とされたDNA型鑑定の不備が見つかったとして、弁護団が再審請求を準備していた2008年に刑が執行された。
「(法相の職務は)国家が1人の人間の生き死にを左右する極めて重要な仕事だ」。冤罪(えんざい)を訴えて再審請求を続ける主任弁護人の岩田務弁護士はそう強調し、「自分の仕事の意味を理解していない人にはんこを押す資格はない」と語った。
葉梨氏の発言を最初に聞いた時は「冗談のつもりで本音が口をついて出たのだろう。心底怒りが湧いた」。「大臣には到底ふさわしくない。(更迭は)当然だ」とする一方、葉梨氏を法相に据えた岸田文雄首相にも「間違いなく任命責任がある」と話した。
死刑制度には賛成の立場の「…