医療施設のベッドで、1歳のアリ・モハメドちゃんが、胸を大きく上下させながら必死に呼吸をしていた。
体重4・9キロ。腕は細く、口や目の周りにまとわりつくハエを追い払うこともない。時折、消え入るような泣き声をあげた。
11月10日、アフリカ・ソマリア南部の町バイドア。深刻な栄養失調と病気にかかった子どもたちが連日、この施設に運び込まれていた。
アリちゃんの母親で農家のヌールト・ラーモウさん(35)は「息子は1カ月前から弱り始めていた。干ばつでソルガム(穀物の一種)の収穫がうまくいかず、食べ物の貯蔵も底をついた」とうつむいたまま話した。
医師のムハメド・オスマン氏は「この子は深刻な栄養失調の上に肺炎にもなっている」と語り、看護師が炎症を和らげる薬を急いで注射した。
子どもたちを死の淵に追いやったのは、この国を襲っている気候変動だ。
地球温暖化によるとみられる気候災害が、深刻さを増しています。とりわけ、途上国の被害と損失は甚大です。何が起きているのでしょうか。長期化する干ばつ被害で多くの命が失われているソマリアの実態を報告します。
干ばつと紛争で危機的な状況に
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